「採用」ではなく「共創」という言葉を使う理由
Sun&R.Lab は、いま組織として大きくありません。CEOである私と、業務委託で関わってくださるパートナーたち、生産者ネットワーク、料飲プロフェッショナルの方々。これが現時点の Sun&R.Lab の顔ぶれです。
このフェーズで「採用」という言葉は、まだ私のなかではしっくり来ていません。代わりに使っているのが「共創 (Co-creation)」という概念です。雇用契約という単一の関係性ではなく、業務委託・パートナーシップ・コラボレーションを含む、より広い形の「共に価値を作る」関係を指す言葉です。
本記事は、求人広告ではありません。Sun&R.Lab がいま、どんな素養を持つ方と共創したいか、その人材哲学を共有するノートです。「もしかしたら自分かも」と感じてくださる方がいれば、いつでも対話のドアは開いています。
なぜ「AI時代」と銘打つのか
経済産業省『DXレポート』や OECD『Future of Work 2024』が繰り返し示すように、ホワイトカラーの仕事のかなりの部分は、生成AI と RPA の組み合わせで自動化されつつあります。Sun&R.Lab 自身も、AI-CEO Framework という Claude Code ベースの経営オーケストレーション基盤で日々の意思決定を高速化しています。
このとき、共創パートナーに求められる素養は、「AIが代替できるスキル」ではなく、「AIと共に創ることで、AIにはできない何かを引き出すスキル」へとシフトしていきます。手を動かす速度や情報処理の量で競うのではなく、AI を道具として使いこなしたうえで、人にしか宿らない判断・感性・関係性を持ち寄る人。それが、AI時代の Sun&R.Lab における共創パートナー像です。
具体的には、私のなかで三つの素養が浮かび上がってきました。探究心・繋がり力・笑顔。Sun&R.Lab の Values にも明示している5つの価値観のうち、人材軸に再翻訳した三つです。
素養 1: 探究心 — 「分かったつもり」の手前で踏みとどまる力
第一の素養は 探究心 (Curiosity) です。
Carol Dweck がスタンフォード大学で長年研究してきた「成長マインドセット (Growth Mindset)」の概念に近いものです。固定的な「私はこういう人間だ」「これはこういうものだ」という枠組みに止まらず、状況の細部に新しい問いを見出し続ける姿勢。
Sun&R.Lab の事業領域は、まだ業界全体としての完成形が見えていない部分が多くあります。ノンアルコールペアリングの設計言語、テロワール経営の事業展開、AI協働の組織運営。これらは「答えがある問題を解く」のではなく、「問い自体を磨く」フェーズにあります。
このフェーズで活躍する方は、未知の領域に対して臆せず、けれど浅く飛び込まず、「分かったつもり」の手前でもう一段踏みとどまる 知的体力を持っています。国産ハーブの収穫タイミングを栽培者と議論するときも、Notion の API で何ができるかを夜中に試行錯誤するときも、姿勢は同じです。「もう少し深く知りたい」という静かな飢え。
探究心が表面的なトレンド追従と違うのは、深さ です。「次のトレンドは何か」ではなく、「いま手元の素材・技術・関係性を、もう一段深く理解できないか」という方向性。探究心は、対象との時間の積み重ねから生まれる、静かな深まりです。
素養 2: 繋がり力 — 異なる専門性を橋渡しする能力
第二の素養は 繋がり力 (Bridging) です。Sun&R.Lab の Values の最初に置かれている「繋がり」を、人材軸で表現したものです。
Sun&R.Lab の事業領域は、本質的に学際的です。ノンアルコール飲料の開発には、植物学・食品科学・栽培学・醸造学・調理学が絡みます。Agency事業には、マーケティング・営業・オペレーション設計が絡みます。BizDev には、業界別の規制理解・技術スタック・経営戦略が絡みます。
どんなに優秀な専門家でも、これら全てを一人で網羅することはできません。だから、Sun&R.Lab で活躍する共創パートナーは、自分の専門領域を深く持ったうえで、異なる専門性を持つ方々を繋げる橋渡しの感覚 を持っています。
具体的には、こんな能力です。
- 専門用語を、別領域の人にも理解できる言葉に翻訳できる
- 自分の専門領域の限界を率直に認め、他の専門家を尊重できる
- 利害が対立しがちな関係性 (生産者と販売者、料理人とソムリエ等) のあいだで、共通の善を見出せる
- 一回限りの取引ではなく、繰り返しの関係を構築できる
Daniel Pink の『Drive』が示す通り、人を動かす最大の力は外的報酬ではなく、内発的動機です。繋がり力の高い人は、自分の利益を超えた「みんなの繋がりが豊かになる構造」に対して、内発的な動機を持っています。Sun&R.Lab の Values「循環」と「共創」は、こうした方々と共に磨いていく価値観です。
素養 3: 笑顔 — 困難な状況でもユーモアを持ち続ける力
第三の素養は 笑顔 (Resilient Cheerfulness) です。これは Sun&R.Lab の Values にも掲げている価値観で、私自身が最も大切にしているものです。
「笑顔」は、表面的な愛想の良さや明るさを指すのではありません。むしろ、困難な状況でもユーモアを失わず、関わる全員の場の空気を一段引き上げる力 です。
Sun&R.Lab のような小規模で多事業並列の組織では、日々予想外のことが起こります。生産者の収穫が天候で遅れる、Notion API の仕様が変わる、海外バイヤーとの商談が時差で深夜になる。こうした状況で、苛立ちや諦めをぶつける人と、状況を引き受けて笑顔で次の一手を出す人とでは、関わる方々全員の体験が大きく変わります。
笑顔の力は、技術的なスキルではありません。けれど、長期的なパートナーシップを築く上で、最も希少で価値ある素養です。Sun&R.Lab で共創してくださる方々の共通点として、私は「困難なときほど、自然と笑顔がこぼれる」を観察してきました。
これは生まれつきの性格ではなく、訓練で育つ素養だと、私は考えています。日々の振る舞いを「自分が場の空気を引き上げる側になる」と意識して選ぶこと。そうした選択を積み重ねた結果として、笑顔は自然なものになっていきます。
三素養のあいだの関係性 — どれか一つだけでは機能しない
ここで強調したいのは、探究心・繋がり力・笑顔は、どれか一つだけでは機能しない ということです。
探究心だけが強い方は、専門知識を深掘る一方で、他者と橋渡しすることに関心が薄くなりがちです。繋がり力だけが強い方は、人と人の関係を結ぶのは得意でも、対象への深い理解が伴わないと表層的なネットワーカーになります。笑顔だけが強い方は、場の空気を保つことには長けていても、困難な決断や深い問いから目を逸らす危険があります。
三つが揃ったときに初めて、Sun&R.Lab で大きな価値を生む共創が可能になります。専門領域の深さを持ちながら (探究心)、その専門性を異なる領域と結びつけ (繋がり力)、関わる全員の体験を引き上げる (笑顔)。三角形の三つの頂点として、互いに支え合う構造です。
これは Sun&R.Lab を運営するなかで、私自身が「ご一緒していてエネルギーが循環する関係」を体感したときに、いまの段階で見えてきている共通項です。Sun&R.Lab はまだ立ち上げから日が浅く、長期的な実証データを語れる段階にはありません。けれど、これまでの対話のなかで感じてきた手触りを、人材哲学として 言語化を試みた言葉 だと受け止めていただけるとうれしく思います。
業務委託というかたちの共創 — 雇用契約との違い
Sun&R.Lab で「共創」という言葉を使うとき、業務委託契約のかたちが多いことについて、もう少し補足します。
業務委託は、雇用契約と比べて両者にメリットがあります。委託する側 (Sun&R.Lab) は、固定費を変動費化でき、必要な時に必要なスキルを呼び込めます。受託する側 (パートナー) は、複数のクライアントと並行して契約でき、自分の専門性を多面的に磨けます。
ただし、業務委託の関係性を続けるには、雇用契約以上に 「一緒に仕事をしたい」と思える関係の質 が決定的に重要です。雇用契約のように制度的に固定された関係ではなく、毎月の更新判断のなかで、両者が「続けたい」と互いに選び合う関係です。
そのため、Sun&R.Lab がパートナーに対して持つ姿勢は、「雇い主と被雇用者」ではなく「お互いに事業を持ち寄って、ある期間、共に作る共同制作者」に近いものになります。受託側が成長できる課題を提供し、対価としてフェアな報酬を支払い、長期的に互いの専門性を引き上げる関係。これが Sun&R.Lab が業務委託で実現したいパートナーシップの像です。
海外パートナーとの共創 — FY27以降の展望
Sun&R.Lab は ROADMAP 上、FY27 H1 を "World Bridge Phase" として、海外展開の本格始動期と位置付けています。中東のラグジュアリーホテル、欧米のミシュラン星付きレストラン、アジアの新興富裕層市場 — これらの現場でブランドを確立していくには、必ず現地のパートナーが必要になると、私たちは考えています。いまはまだ国内の Discovery フェーズの途上にあり、海外は遠くに掲げた北極星ですが、この方角に向けて準備を始めている段階です。
海外パートナーに対しても、Sun&R.Lab は同じ三つの素養を求めます。探究心 (現地の食文化と日本のテロワールを深く繋げる視点)、繋がり力 (現地の料飲プロフェッショナルと Sun&R.Lab を橋渡しする能力)、笑顔 (時差・文化差・言語差を超えて、長期的な関係を持続させる耐性)。
国境を超えても、人と組み続けられる素養の本質は変わりません。
共創の門戸は、いつでも開いています
Sun&R.Lab はいま、業務委託・パートナーシップ・コラボレーションのかたちで、共に価値を作ってくださる方々と少しずつ対話を重ねている段階です。固定的な募集枠を設けているわけではなく、事業フェーズに応じて、その時々で対話したい領域があります。
参考までに、いまの段階で関心を持って向き合っている領域をいくつか共有します。ノンアルコール飲料の開発に関わる醸造家・栽培者の方々。Agency 事業で店舗のオペレーション設計を共に磨いてくださるソムリエ・F&Bマネージャーの方々。BizDev で業界別の専門知識を持ち寄ってくださるコンサルタント・エンジニア・PRの方々。海外展開を見据えたとき、現地パートナーとなってくださる方々。
具体的な募集要項は、その時々の事業フェーズによって変わります。本記事は「Sun&R.Lab はこんな素養を持つ方と共創したい」という人材哲学の表明であり、定型的な求人ではありません。「私もそういう人間かもしれない」「この事業に関わってみたい」と感じてくださった方は、いつでもお声がけください。
最初の一歩は、対話から始まります。形式的なエントリーシートではなく、私たちが何を作っているか、あなたが何を作りたいか、を率直に話す場を作りたいと考えています。Sun&R.Lab という小さな組織が、テロワールを世界の架け橋にしていく長い旅路。その途上で、ご一緒できる方との出会いを、心から楽しみにしています。私たちが目指したいのは、単なる商業的成功にとどまらず、関わる方々全員が「この仕事に関わったことを誇りに思える」と感じてくださるような事業の在り方でありたいと、いまは考えています。
組織の大きさは、価値の大きさを必ずしも決めません。むしろ、小さな組織だからこそ、関わる一人ひとりの素養と判断が、事業の方向性を直接的に決めていきます。Sun&R.Lab は、その密度の高い共創関係のなかで、世界水準のテロワール体験を、ひとボトルずつ着実に作り出していきます。
NEIGE & THÉ — Operated by Sun&R.Lab LLC. お問合せ窓口: sun.r.lab@gmail.com 公式 Journal および各種チャネルで継続的に共創パートナー像を発信していきます。
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出典
- · 経済産業省『DXレポート』および『未来の教室』ビジョン (人材論の文脈)
- · OECD『Future of Work 2024』(共創スキルの国際比較)
- · 厚生労働省『令和6年版労働経済白書』
- · Carol Dweck『Mindset: The New Psychology of Success』(成長マインドセット理論)
- · Anthropic『Claude Code Documentation』(AI協働の実装パターン)
- · Daniel Pink『Drive』(内発的動機の研究)
